Mark Parker, President and CEO of Nike Inc. |
ナイキ(本社:オレゴン州ビーバートン、マーク・パーカー社長兼CEO)が2011年6月23日発表した2011年5月決算は連結売上高208億8,200万ドル(前期比9.7%増)、純利益21億3,300万ドル(同12%増)となった。2010年5月期は10年ぶりの減収だったが、当期は再び増収増益に回復した。売上高は初めて200億ドルを突破した。
Nike Fiscal 2011 Financial FResult
ナイキブランド売上は181億ドル(前期比10%増)で、全売上に占める構成費は86.7%である。ナイキ以外のブランド売上は27億4,700万ドル(前期比9%増)で、前年(構成比87%)から若干低下した。傘下ブランド成長でナイキへの一極集中を軽減したいところだが、十分な育成効果がでていない。
地域別売上は北米市場が75億7,800万ドル(前期比13%増)で、構成比は36.3%だった。海外売上は64%で、完全なグローバル企業である。アメリカに次ぐ売上構成(構成比18%)のEU市場は38億1,000万ドル(前期比2%減)となった。
日本市場(構成比3.7%)は売上高7億6,600万ドル(前期比13%減)で、売上額で1億1,600万ドル(93億5,000万円)*という減収になった。日本円換算で約100億円の減収で、2010年5月期も4,370万ドル(36億円)**の減収だったから、ちょっと常識では理解できないほどの業績不振である。ナイキジャパンのマーケティング戦略は根底から見直す必要がある。
いっぽう中国は20億6,000万ドル(前期比18%増)、新興地域(Emerging Market)は27億3,600万ドル(同24%増)と順調だった。この2つの新興地域ブロック売上高合計は48億ドル(前期比21.7%増)で、構成比は23%を占めるまでに成長した。
西ヨーロッパ、日本市場は低迷しているが、発展途上国では依然高成長している。いまやナイキスニーカーは発展途上国の成長プロダクトになってしまった。ナイキは今後、ファッション先進地域と発展途上地域、大都市都心部と地方都市といった、市場の二重構造に対応するブランド、デザイン、スタイル、カテゴリーのダブルスタンダードを打ち出す必要が出てきた。ナイキは巨大であるが、プロダクトのテイストは、一種類の好みの客にしか対応できないワンテイストのプロダクトなのである。