2017/07/01

Nike Fiscal 2017 revenues $34.4 billion, up 6 percent

Mark Parker, Chairman, President and CEO of Nike, Inc.
Nikeが6月28日発表した20175月期業績は連結売上高344億ドル(前期比6%増)、純利益42億ドル(同13%増)となった。Nikeブランド売上は322億ドル(同8%増)、Converse20億ドル(同6%増)である。
Nikeブランド売上の72%322億ドル)は卸売り(5%増)、DTC売上は28%(91億ドル)で、DTC成長率は18%という高成長だった。DTCは直営ストアとデジタルコマースに分かれているが、デジタルコマースは30%というハイペースで、直営ストア(期末985店)の既存店売り上げ7%増をはるかにしのぐ業績だった。
Nike Air VaporMax

Nikeの高成長路線は2015年に終わり、2016年はそれまで維持してきた2桁成長から6%にスローダウンした。今期も成長は6%増にとどまり、純利益も13%増にスローダウンした。しかしアナリスト達の成長鈍化予想を覆し、前年並みの堅実な業績は維持した。業績を支えたのは海外売り上げで、とりわけ西ヨーロッパ、中華圏、発展途上地域が好調を維持した。商品別にはスポーツウエア、ランニングが健闘している。しかしadidasの復調でフットウエア競合が激化し、特に北米で追い上げにあって粗利益率の減少に直面している。今季は経費削減と税負担縮小で去年並みの増益を確保したが、今後も安定成長を持続できる保証はない。
Nikeのようなメガブランドは、国内市場や特定カテゴリーに特化するだけでは長期安定的な成長を維持することはできない。かつて最盛期のアディダスが80年代に直面したジオポリティック(地政学的)、デモグラフィック(人口統計学的)両面からのマーケティングアプローチがNikeにも要求されているのである。
Runners sport in Nike running wear
前期のジオポリティック動向で最大の注目点は、西ヨーロッパが90年代のアメリカ市場が果たしたようなリーディングブロックの役割を担いつつあることだ。成熟した国や地域であっても、人口動態変動によってマーケットは成長できるのである。EUは東欧、中東、アフリカからの移民流入が成長原動力になって、再び成長ブロックに復帰してきた。移民は社会的な摩擦を引き起こすが、その一方で90年代北米市場でアフリカンアメリカンが演じたようなクラスターにもなるのである。イスラム難民を拒否するEU指導者達は、市場成長のダイナミズムをもっと学ぶべきである。adidasはそれを北米で実証し、Nikeは西ローロッパで実践しつつある。アスレチックフットウエアは新しい時代を迎えつつある。

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