2015/05/10

President Obama Explains His Vision on Trade at Nike

President Obama and Mark Parker of Nike CEO at Nike World Campus, May 8. 2015
Obama大統領は5月8日、Nike World Campus(Beaverton, OR)で、現地ワーカーに向けたTrans Pacific Partnership(TPP : 環太平洋戦略的経済連携協定)演説推進演説を行った。大統領はTPPが米国内雇用増、参加国の労働環境改善につながると強調した。
大統領に先立ってNikeのMark Parker 社長も挨拶に立ち、TPP交渉が実現すればNikeも米国内製造部門と技術部門で新規雇用1万人を生み出すことが可能で、関連企業分野でも4万人の雇用増を実現できると表明した。
President Obama talk about TPP at Nike World Campus, May 8. 2015
Nikeは90年代に中国やインドネシアの製造工場で、未成年低賃金労働者雇用(Sweatshop)で世界中の非難を浴びてきた歴史がある。Obama大統領はTPPでMade in USAを主張しているが、Nikeはむしろ海外生産の代表的ブランドという印象が強いブランドだ。しかも2014年にヴェトナム製造強化を打ち出したばかりである。
そのNike本社でMade in USAとヴェトナム工場の労働条件改善に言及するとは綱渡りみたいなObama演説だが、その裏で周到な計算もしている。NikeはOregonとNorthwestインダストリーゾーンの代表企業というだけでなく、世界を代表するブランドである。言わば典型的グローバルトレード企業で、TPPそのものを体現しているみたいな企業だ。
Mark Parker of Nike CEO at Nike World Campus, May 8. 2015
そのNikeの本拠地でTPP交渉推進を強調し、Nike社長が、Made in USAと国内雇用創出を宣言したんだから、逆説的な意味で、Obama政権の主張に100%フィットした筋書きになっている。Nike側も90年代のSweatshopイメージの払拭と国内雇用創出宣言で、いちおうモトはとった。NikeはLet’s Move Active Schools(米国学校スポーツ活動支援プログラム)でMichelle Obamaにも強力している。なにしろ大統領専用機(Air Force 1)というブランドで稼いでいるくらいだから、協力しないわけにはゆかない。
TPPは共和党と労働組合の反対はいうに及ばず、身内の民主党からも批判が出ている。Obama政権にとってTPP交渉は交渉相手だけでなく、国内対策もなかなか厳しい環境である。

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